そばなかや
一木町の在来種に惚れこんだ!
裏メニューがありすぎる手打ちそば屋
「ここ、そば屋じゃけど、そば屋じゃないよ。」と謎の言葉を放つ中藤達彦さんの店「そばなかや」は、中国自動車道庄原インターチェンジから庄原市役所方面に向かうその道沿いにあります。看板が建物にあまりにしっくりと馴染んでいるので、うっかり通り過ぎてしまうかもしれませんね。
ここね、すごく立地条件の良いところにあるおそば屋さんだと思うんです。
でも店内の様子が見えなくてちょっと入りづらいと感じる方もいらっしゃるでしょう。
本日は「自称、人見知り」のなかやの店主、中藤さんに代わって案内いたします。
ここね、すごく立地条件の良いところにあるおそば屋さんだと思うんです。でも店内の様子が見えなくてちょっと入りづらいと感じる方もいらっしゃるでしょう。本日は「自称、人見知り」のなかやの店主、中藤さんに代わって案内いたします。
まず店内に入ると、目の前にカウンター席があります。平日のお昼どきは、わずかな休憩時間にササッと食べにくる常連さんが多いそうですが、週末は比較的入りやすいと思います。
メニューは、とってもシンプル。基本はざるそば、かけそば、ぶっかけそばです。でもまずは、カウンター席の背後にある常設の「セルフサービスコーナー」をご覧ください。「そばがもっとおいしくなる天かす」やとろろ昆布、乾燥わかめ、生卵などそばのトッピングのほか、そばだし豆腐やそばサラダなどちょっとした副菜がお好きなだけ選べます。
常連さんは、まずここに何が並んでいるかをチェックします。とろろが出ている日は、ぶっかけそばにする人が増えるのだとか。時には「カレーの日」もあって、そんな日はごはんを追加(※別料金)し、「そばを少なめに」と、注文されるそうです。
なるほど。トッピングを見て、自分がどんなそばを食べたいかをイメージすればよいのですね。ちなみに、カレーの日は表に黄色い旗が出ているそうです。月に一度一週間しかないカレーの日です。黄色の旗の日に来店できたら、ラッキーかもしれません。幸せの黄色い旗ですね☆
では……「冷たいざるそばと温かいそば、両方くださ~い!」
と、注文して待つことおよそ3分。
いつも1時間しかない休憩時間に食べにくるお客さまに対応しているので、注文が入るとサッとゆがいて、ササッと出す、これがなかや流です。
そばは毎朝、中藤さんが打つ二八そばです。そば打ちに外気温、水温はかなりの影響を与えるので、その日の気温を確認しながら打っていきます。使っているそば粉は、100%庄原の一木(ひとつぎ)町産。在来種のソバを「挽きぐるみ」という方法で挽いてあります。
そばの香りも感じますが、甘味がある! 例えるなら里芋のような優しい甘さ。
これは一木町の在来種の特徴なのだそうです。
つゆは、中藤さんが会社員だった頃に開発した配合をきちんと成分分析した上で業者に再現してもらっているのだとか。
全てのお客さまにそばを提供し終えると、緊張から解放されたように饒舌になる中藤さんです。
夜は、1日1組限定の完全貸し切り、予約制。お値段も料理だけなら4,000円(税込み)。飲み放題を付けるとプラス2,000円(税込み)。※2021年3月現在
「お料理はどんな内容ですか?」と聞くと、写真を見せてくださいました。
「美味しそう!」
きれいな脂のイノシシ肉、中藤さんが釣ってきたという魚、天然のヒラタケなどなど。魚はムニエルに、ヒラタケはさっと焼いたり、天ぷらにしたり。その食材に合わせた調理法を考えます。
「これ、食うてみる?」と、
干してあった「寒ばえ」をあぶってくれる中藤さん。
お話を聞いているうちに、ALLお任せの夜のコースを楽しみに来たいな~と思いました。
そばも食べ終わったところで……
「え? 替え玉ですか?(笑)」
この湯切り、絶対ラーメン屋ですよね!?
「そば職人は、自分の目指すそばがあって、そのために全国からそば粉を取り寄せて自分好みのそばを打つでしょ。でもここでは、一木のそば粉しか使わない。『一木のそば粉様』に合わせて作るそばなんだから。」
そう言って、最後まで笑わせてくれた中藤さん。これまでも庄原市内の飲食施設でメニュー開発や後輩の指導にあたってきた実力派です。ここに自分の店を構えて13年目。冒頭の「そば屋じゃないよ」という謎の言葉、そこには「庄原の食材のために俺の腕がある」・・・そんな意味が隠されているのではないでしょうか。
店舗情報
店名 | そばなかや |
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住所 | 広島県庄原市東本町1-25-11 |
電話番号 | 0824-72-6628 |
営業時間 | 11:30~14:00 17:30~20:30 |
定休日 | 火曜日 |
インスタグラム | https://www.instagram.com/sobanakaya/ |
取材・文/平山友美