グリーンフィールド西城
〝ふきのとうアイス″は森の味!?
常時20種類以上そろえる優しいジェラート屋さん
「森の中の小さな手作りアイスクリーム屋さん」……「グリーンフィールド西城」という店名の前に、そう小さく書いてありました。店名以上に、このお店を分かりやすく表現しているフレーズです。
道後山やひばごん郷温泉への通り道、赤い山小屋風のかわいい建物が見えてきます。気候の良い季節は、常連のお客さまで賑わうジェラート屋さんです。木の扉を開けて、中に入ると店長の渡部可菜さんが素敵な笑顔で声を掛けてくださいます。
さっそくジェラートをお願いします!
常時20種類以上あるという手作りジェラート。しかもここにしかないようなユニークなラインナップです。
【常時20種類以上。どれも搾りたての自家製生乳が原料】
例えば、りんごの産地として高野町と双璧を成す小奴可(おぬか)のりんごを使ったジェラート。りんごのジェラートだから、シャーベットタイプなのかと勝手な想像をしていましたが、ここはミルクベースでした。りんごを軽く煮て、それを潰したものが混ぜ込んであります。果肉の食感が斬新で、とっても美味しい!!
「人気はやはり『バニラ』や『ミルク』ですよ。」
バニラは、卵黄が入るのが一般的ですが、ここのバニラは卵は入っていません。ミルクよりも少し濃厚な味わいで、バニラビーンズで香り付けしてあります。
同敷地内に農場があり、店長可菜さんのお父さまが愛情かけて育てている牛の搾りたて生乳(※)が主な材料です。
※生乳・・・牛乳やジェラートなど乳製品の原料で、牛から搾っただけの状態をいいます。
【このようにジェラートらしく先が尖がった感じに盛るのは「シングル」。アイスクリームディッシャーで丸く盛るのは「ハーフシングル」のサイズ】
今から50年以上前に、可菜さんのおじい様が乳牛を飼い始めました。その後、30年近く経った頃でしょうか、おじい様が「ここの牛乳をもっと多くの人に味わってもらいたい」という想いからこのジェラートショップを始めたそうです。ちょうどそのころ、可菜さんが生まれました。
子どもの頃から美味しい牛乳とジェラートを食べていた可菜さんは、広島の大学を卒業した後、ここを受け継ぎました。
「おじいちゃんが作ったものを無くしたくない、ただそう思っただけなんです。」
この言葉から可菜さんのおじい様、お父様が牛たちにどれだけ愛情をかけて育ててこられたかが伝わってきました。
現在は約40頭のホルスタインを飼っています。残念ながら、現在は疫病を予防するため一般の人が牛舎に近づくことはできません。でもお天気の良い日には、外で手作りジェラートを楽しみながら、のんびり過ごすのも粋ですよ。
ユニークな味のジェラートといえば、まだまだあるんですよ。
「え? 『ふきのとう味』があるんですか!?」
ビックリして身を乗り出してきたのは、この日、初めてここを訪れた砂谷牧場の久保宏輔副社長。
「うちでもジェラートは作っているんですが
・・・さすがに『ふきのとう』はないですね。」
ふきのとうをジェラートにしようと思った発想も面白いですが、食べてみたらもっと面白い。普通はふきのとうの苦味を消そうとしてしまいそうですが、ジェラートの甘味の中にしっかり苦味が感じられます。
どんな味かって……?
それはここへ来て召し上がってみてください!
【左からりんご、グリーンピース バニラ ミルク ふきのとう】
グリーンピースは口の中で溶けた後から、優しい豆の甘味を感じます。
これは自家栽培した グリーンピースを使っています。
まだありますよ。
「ウワミズザクラ」「ナツハゼ」「またたび」「かりん」などなど。
一体、どんな味がするんでしょう!
他にない味のジェラートをこれだけ揃えていますが、決して計算されたものではありません。庄原の自然の中にあるものを使ったら、こうなった…… ただそれだけなのです。
森に自生する植物や地元で育った野菜を使うのがグリーンフィールド流。登山やサイクリングの途中で立ち寄るお客さまにとっては、特にうれしいラインナップでしょうね。
他にない味のジェラートをこれだけ揃えていますが、決して計算されたものではありません。庄原の自然の中にあるものを使ったら、こうなった・・・ただそれだけなのです。
店内には常連のお客さまが撮影されたという山の植物の写真がたくさん飾ってあります。四季折々に訪れるのが楽しみになる、森の中の小さな手作りアイスクリーム屋さんです。
店名 | グリーンフィールド西城 |
---|---|
住所 | 広島県庄原市西城町小鳥原347-1 |
電話番号 | 0824-84-2711 |
営業時間 | 10:00~17:00 |
定休日 | 毎週月曜日(祝日の場合は翌日) 1月2月は土日、祝日のみ営業 |
https://www.facebook.com/greenfieldsaijo/ |
取材・文/平山友美