モーモーあいすらんど
モーツァルトを聴かせたらどうなるの?
自社牧場の生乳でつくる酪農家のスイーツ
自社牧場の生乳を使ったジェラート屋さんとして、県内でも先駆け的な存在の「モーモーあいすらんど」。長い間「乳やのかあちゃん手づくりあいす」などの名前で親しまれてきましたが、2020年の春、「シンフォニージェラート」に生まれ変わりました!
【新しくなったパッケージも手作りの優しい味わいをイメージさせる】
「シンフォニー」と名付けた由来は、自社牧場の牛たちに毎日モーツァルトの音楽を聴かせて育てているから。
「牛にモーツァルト!?」と意外に思われるかもしれませんが、「モーツァルト効果」を利用して動植物を育てるという事例は世界各地にあります。モーツァルトの曲には高音域が多く、それが少なからず良い影響を与えるといわれています。ここの牧場では、2008年頃から、牛の食事時間には必ず聴かせるようにしています。そして3時間くらいかけて、ゆっくり食事をさせるそうです。
私たちもリラックスした雰囲気で、ゆっくり美味しいごはんを食べると気持ちが良いですよね。牛たちも同じなのです。ミルクは牛たちの血液でできています。ストレスなく、健康に育った牛のミルクだから、こんなに優しい味のジェラートができるのですね。
自社牧場は工房から車で2~3分のところにあります。ミルク缶に入った搾りたての生乳が運ばれてきて、それを70℃まで加熱して殺菌します。これを「低温殺菌」といいます。搾りたての生乳には悪い菌も良い菌も含まれています。牛乳やジェラート、チーズなどの乳製品に加工する場合は、必ず悪い菌を死滅させる必要があります。低温殺菌は、高温殺菌に比べると少し時間がかかりますが、生乳本来の風味を残すことができるのです。
生乳の風味・・・一体、どんな風味なの?
と、気になった方には、まずは「プレミアムバニラ」をおすすめします。
庄原産のもみじたまご(※)を加えたコクのある味わいです。バニラビーンズは、マダガスカルやタヒチ産の有機栽培のもの。この他、定番は「濃厚宇治抹茶」「ショコラ」「塩生キャラメル」「大人のラムレーズン」。季節限定で「森のラズベリー」「高野りんご」などのソルベや「ピオーネミルク」などがあります。
※もみじたまご・・・多くの卵は海外で育種改良されている親鶏から生まれたものですが、日本国内で日本の風土に合うように育種改良された「純国産鶏もみじ」から生まれた卵を「もみじたまご」と呼びます。庄原は卵の生産量も県内一で、ここでは庄原で育てられている「純国産鶏もみじ」から生まれた卵を使っています。
ソルベは果汁やリキュールなどを加えて作った氷菓のことで、いわゆる「シャーベット」のような食感。材料のラズベリーやりんご、ピオーネは全て庄原産です。
原料の70%以上が生乳という他よりもミルク風味がしっかり感じらる「牧場ミルク」は、「道の駅たかの」など店頭販売限定です。見かけたら絶対に食べてみたいですね。
そしてここのジェラートのもう一つの特徴は、色んな食べ方で楽しめるということ。例えば、近所の手作り工房のクッキーに挟んで食べる「クッキーサンド」
プレミアムバニラに熱々のエスプレッソをかける「カフェ・アフォガード」や厚切り食パンの上にジェラートをのせ、さらにはちみつをかけて食べる「ハニートースト・ジェラート」など、一度はやってみたい憧れのカフェメニューがおうちで簡単にできちゃいます。
それからこちらの「シンフォニープディング」も忘れてはなりません!
こちらも味、ネーミング、パッケージ共にリニューアルして、ますます人気の商品に。砂糖を控えめにしているのでまずはそのまま食べて、生乳と庄原生まれの卵の濃厚な味を堪能したあと、お好みで付属のカラメルソースをかけて召し上がってください。
「あぁ~、プリンも美味しいですね。僕はカラメルソースの無い方が好きです」と言うのは、砂谷牧場(広島市湯来町)の久保宏輔さん。
普段は工房でジェラートやプリンを作っている田邊さんですが、毎日、牛の世話も手伝っています。牛舎には約30頭のホルスタインがいます。
「毎日牛舎に出るようになってから、ジェラート作りに対する考え方が変わってきました。」という田邊さん。それまではただ、材料の牛乳としてしか見てなかったけれど、牛の世話をするうちに
「あぁ、この牛さんたちの血液を使わせてもらっているんだな。」
という気持ちに変わったそうです。
「酪農家はね、もちろん愛情をもって牛を育てるんだけど、それは『自分たちの生活を支えてくれるもの』として大事にするんですよね。」
牛は1頭が病気になると、伝染して全頭死んでしまうこともあるそうです。だから病気にかかった牛やもう乳が出なくなった牛は殺してしまうこともあります。
「それをかわいそうだと言う人もいるけれど、酪農家はそこの線引きをするっていうことも大事なんです。」
嫁いできてから初めて牛に触れるようになった田邊さん、慣れないうちはその「線引き」が難しくて、かわいそうだと泣いた日もありました。でも今は違う。言葉を話せない牛にちょっとでも異変があったら、すぐに対処できるように、ご主人と一緒に牛を観察するのです。
「良いお乳を出してもらうために、毎日、しっかり牛を見るようにしています。」それは「ジェラートを作るよりも難しい!」と、笑顔で語ってくれました。
店名 | モーモーあいすらんど |
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ホームページ | https://kuchiwa-ice.com/ |
取材・文/平山友美