古民家レストラン やませみ

建物も店主の生き方も!
見どころ、味わいどころ満載の素敵すぎる古民家カフェ

最近、時々「古民家カフェ」の情報が耳に入ってくるようになりました。でも「古民家カフェの祖」というべきは、ここ「やませみ」かもしれません。築130余年の古民家だから、この建物そのものが見どころ満載、店主の田中さんご夫妻の生き方も語りどころ、聞きどころ満載です。「おまかせ定食」(¥1,250)をいただきなら、ゆっくり聞かせてもらってください。

美味しい食事のレポートをしたいところですが、ここはテーブルに落ち着くまでに時間を要します。

どの席にしましょうか。ヨーロッパ調のアンティーク家具のお部屋も良いし、和室もくつろげそう、このテーブルが素敵だな、と他のお客様がいなければ、ぐるりと一周してゆっくり決めると良いですよ

ちなみに、これらの家具はほとんど大阪のマンション住まいの頃にコレクションしたものだそうです。

さぞや、大きなマンションかと思いきや、ごく普通の間取りだったらしく
「骨董品に囲まれ過ぎて、立って食事をしていたわ!」と笑わせてくれました。

重厚感のある雰囲気の中、骨董の器で提供されるお料理というと、なんだか緊張してしまいそうですが、そんな心配は要りません。

この日の「おまかせ定食」のメインは、煮込みハンバーグでした。

ハンバーグが見えない…… ですが、お手製のハンバーグが畑の野菜たちの下に隠れています。

あら、こっちがメインだったかな? 

蒸しなすに茗荷を添え、ごまソースをかけたもの、豚肉となすやパプリカのちょっと豆板醤を利かせた味噌煮、自家製のぬか漬け、ブロッコリーにかかっているのは、明太子とクリームチーズのディップソース。

他にもフレッシュ野菜のサラダやごはん、具沢山のおみそ汁が付いていました。

「もともと、お料理が好きだったのですか?」と尋ねると、奥様の三津子さんは、「いいえ!(笑)」と即答でした。

土日祝限定でご主人の博之さんがそばを打ちます。十割そばの御膳は、1,550円。ご主人にも「もともと、そば打ちにはご興味あったのですか?」と聞いてみると、「いいえ、全く!」と即答でした。

お二人がこの家に出合ったのが約35年前。大阪に住んでいたご夫妻は、当時空き家だったこの家にひと目ぼれ。そこから10年間、大阪との往復生活を経て、約16年前に今の古民家カフェを開店しました。
当初は、地域の人がちょっと立ち寄って、この地域のことについて気軽に話し合えるコミュニティができたらいいな、とそんな風に考えていたそうです。夫婦でコーヒー好きだったことから、喫茶店としてスタート。ところが、来たお客様から
「何か、ごはんが食べたいな。」「水が良いからそばを打ったらいいよ。」と、リクエストされ、三津子さんは畑で野菜を作ってお料理に、博之さんは東城にそば打ちを習いに行きました。
庄原には縁も所縁もなかったお二人が、気が付けば、地域の人に頼られる存在に。

「今はね、心の底から『良いところですよ~』って言えるの!」
という三津子さん。35余年の間、それはそれは語り尽くせないほど色々な出来事がありました。今では庄原を心から好きと言ってくれる庄原人です。

最後のデザートは、きゅうりのゼリー。あぁ、これですね、畑を見て作るものを考えるって言われていたのは。だって、何か作ろうと思ったときに、最初にスマホでレシピを探す人には、絶対にたどり着けないアイデアですから。

ここに移り住んだ理由を尋ねたとき、三津子さんは言いました。
「骨董の家具がマンションに入りきらなくなってねぇ!」
本当にそれだけでしょうか。きっと違います。10年もの間、大阪から通い続けても、冷めやらなかった思いの源。それは、お二人が縁側に座って見つめる先に…… それが本当の答えだと思います。

店舗情報

店名 古民家レストラン やませみ        
住所 広島県庄原市西城町熊野455-1        
電話番号 0824-82-3961
営業時間 10:00~16:00
テイクアウト有り
定休日 水・木曜日 ※祝日の場合は営業