藤本農園

食べた人に元気と笑顔を!
「あいがももん」に秘められた謎と熱い思い

「うちの特徴はアイガモ農法のお米作りです!」
の言葉通り、「あいがももん」と命名されたゆるキャラ(?)がトレードマークの藤本農園。

こだわりの農法もさることながら、ここを訪れる人たちとのコミュニケーションをとても大事にしている農園です。

農園内にオープンしたゲストハウス「ショップあいがも屋」では、藤本農園自慢のお米や合鴨肉など購入することができます。ぜひ訪れてみてください!

「ショップあいがも屋」に向かう道を歩いていると、本物のアイガモたちに出合えます。
「カワイイ!」と、近くで見ようとすると、アイガモたちはビックリして離れていってしまいます。またその逃げる姿も愛らしい! 

「よく見ると、アヒルもいるんですね?」
アイガモの群れに白い水鳥が1羽、混じっていました。もともと、アイガモは野生のカモとアヒルを掛け合わせたものです。アヒルは、アイガモよりも成長が早く、群れの中では兄貴分。でも実はアイガモよりもドンくさいので、外敵におそわれやすいのだそう。だからアヒルが元気に泳いでいることは、アイガモたちが無事な証しになるのです。
そして、アイガモたちが元気に泳いでいることは、この田んぼの水も土も良い状態であることの証しです。田んぼの中には、アイガモたちのエサになる雑草が生え、虫やカエルたちが共存しています。アイガモたちは、イネのような筋張った硬い植物は食べません。イネよりもやわらかい雑草や小さな虫を食べて、イネと共にすくすくと育ちます。「合鴨水稲同時作」と言われる所以です。

アイガモたちがここで平和に暮らしてくれるだけで、イネは水田に発生する雑草や害虫から守られます。
アイガモたちが水田を泳ぐと、土や水がかき回されるので、水田内に酸素が循環したり、アイガモたちのフンがイネの養分となって生育を助けてくれるという効果もあるそうです。

でもアイガモたちは、雑草を取りこぼします……。
それに、田の周辺の草は食べてくれません。そこは藤本さんのお仕事。それに、時々脱走することもあるそうで、意外とお世話も大変みたいです。
藤本さんは、全く苦にはないようですが!

毎年、田植えの頃にやってくるアイガモのヒナたち。
450羽もの数、藤本農園の田んぼに放され、イネと共に成長しますが、稲穂ができる頃になるとその役目は終わりです。アイガモが大きくなってしまうと、今度はせっかく実った稲穂を食べてしまうからです。田んぼから引き上げた後、アイガモを自然に放すことは法律的に禁止されているため、処分することになります。

せっかくなら、感謝の気持ちを込めて命をいただきたいものです。でも自由に泳ぎ回って育ったアイガモには、無駄な脂肪は付いていません。そのまま食用にするには、肉が少ないため、藤本農園では商品にならないくず米などを食べさせて肉付きを良くします。その後、県外の処理施設に送り出し、解体してもらっています。そして適切に加工されて、食用合鴨肉となってまた戻ってきます。

藤本農園がある庄原市東城町は、畜産やたたら製鉄などの産業で発展した地域です。朝夕の寒暖差があり、水田の源流となる水は、鉄分を含みます。鉄分は、イネの根を守ってくれる効果があり、食味も良くなるそうです。

同園では、肉牛となる牛も育てているため、「庄原こだわり米プロジェクト」で共有している竹粉に自社で牛糞を混ぜ、自家製堆肥を作っています。
こうして、土作りをしたうえで、米を栽培。全体の2割程度がアイガモ農法、残りは特別栽培米です。

収穫したコメは、自社で選別、精米します。土作りから米として出荷するまで、一貫して自社で行うことで、これだけのこだわり米でありながら、価格が抑えられています。私たち、消費者にとってはうれしいことですね。
このアイガモ米が毎日の食卓に添えられ、食べた人が元気になり、たくさんの笑顔が生まれたらうれしい、そんな思いを込めて「一粒万笑」の言葉を掲げています。これが農業の原点ですね。

こうして山間部で自然と共存していながらも、自分たちで作った商品は売るべきところにしっかり売る、得たものは、この地域に還元する…… そんな仕組みができている藤本農園。

「循環型」は、農業だけでなく、藤本さんの生き方そのものに反映されているのだと感じました。

店舗情報

店名 藤本農園                      
住所 広島県庄原市東城町粟田2939              
URL https://www.aigamoya.net/