歴史・民俗資料や
音響機器が並ぶ
音と心のふるさと
- 歴史・文化
口和郷土資料館
「庄原市口和郷土資料館」は、口和町内で使用されていた歴史・民俗資料を収集・保存展示して、かつての地域の暮らしぶりを後世へつなぐ施設として、昭和52年(1977年)に開設されました。昭和55年(1980年)に、庄原格致高校口和分校が閉校したことに伴い、この建屋へ移転。木造校舎を活用した館内は、レトロで味わい深い趣を漂わせています。
民俗資料館や郷土資料館は全国各地にありますが、ここ口和郷土資料館がほかと違うのは、音響や映像に関する機器等も展示されており、さらにそれらの多くが修復されているため、聴いて・触れて・見ることができる”動態展示を楽しめる点です。
平成15年から館長を務める安部博良さんは、もと電子機器メーカーの技術職。スタッフの才田孝さんもまた、以前は同じく総合電機メーカーの技術職に就いていたことから、昔の機器が修復可能に。当初、安部さんが現役時代の技術でレアな蓄音機を修復して音を聴けるようにしたところ、たちまち話題となり、その後、自然と古い音響機器や映像機器の寄贈が相次ぐようになったのだそうです。
全国からもファンが訪れる当施設は、2階に音響・映像機器や生活民具、農耕用具などを展示。1階には化石・出土品のほか、「ふれあいシネマ」という名の手作りの映画館があり、月に1回程度収蔵ソフトでの上映会を開いています。こちらに展示されている映写機は、かつて口和や東城にあった映画館で使用されていたもの。口和町内の映画館『中央館』で使われていたアーク式35ミリ映写機は、大林宣彦監督の最後の作品『海辺の映画館―キネマの玉手箱―』に登場しています。現在は当館1階の廊下に鎮座しているので、その堂々としたたたずまいを感じてみてはいかがでしょうか。
また、隣のロビー(鑑賞室)では、「蓄音機展」や「音楽ライブ」などさまざまなイベントを実施。とくに、令和5年(2023年)5~8月にかけて開かれた「未来技術遺産展」では、国立科学博物館認定の未来技術遺産(日本の科学技術の歴史に重要な役割を果たした重要科学技術史資料)と同モデルの当館収蔵資料32点が展示されたこともあり、評判を呼びました。さらに「自作真空管アンプ試聴会」や「ラジオ作り体験教室」なども開いており、科学技術に関心のある大人から子どもまでを広く魅了しています。
開館時は、館長の安部さん、安部ミヨコさん、スタッフの才田さんの3人が常駐。館内を案内してくれるので、詳しい解説を聞くのがおすすめです。訪れた時には、1階と2階をつなぐ明治時代の電話機で通話体験をさせてくれたり、昭和時代の業務用テレビカメラを作動させてみたりと、内容もりだくさんでした。撮影映像をモニターに映し出し、簡単な編集作業ができるテレビカメラの体験は、小学校の社会科見学などでも疑似の「TV局体験」として人気を博しているそうです。
生活民具、農耕用具のコーナーでは、かつての消防団の道具や鍋釜などの生活道具、嫁入りかごといった珍しい資料もあり、昔の人々の暮らしに思いを馳せることができます。当時を知っている人なら「懐かしい」という気持ちに、若い世代であれば、おじいちゃんやおばあちゃんから聞いた昔話を思い浮かべるのではないでしょうか。
最後はお試しに、映画館で収蔵フィルムを視聴しました。チャールズ皇太子とダイアナ妃の東京訪問時のパレードの映像と昭和の歌謡曲が、しみじみとしたノスタルジーを感じさせてくれました。
館内は清掃が行き届いており、安部ミヨコさんが生ける野の花が楚々とした風情を醸し出しています。実際に訪れた人たちからは、「旧校舎利用に意義がある。懐かしく、ほかでは見聞できない。」という声や、「実際に動作する電気製品はめずらしく、非常に価値あるものだと思う。」などの感想が寄せられている当館。地元が誇る貴重な財産として、大切に受け継いでいきたい施設です。
SUMMARY
幻の逸品の数々!歴代の映像と音響機器が現役!【口和郷土資料館】
DATA
- 電話
- 0824-87-2230
- 住所
- 広島県庄原市口和町永田9
- 駐車場
- 有り 普通車20台、大型バス可
- 定休日
- 火・水・金・日曜、年末年始
- URL
- http://www.city.shobara.hiroshima.jp/main/education/shisetsu/cat01/03/
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 価格
- 無料
ACCESS
お車/中国自動車道庄原ICから約20分、中国横断自動車道口和ICから約10分