中国山地の
自然史に関する
情報発信源
- 歴史・文化
庄原市立比和自然科学博物館
高野ICから車で20分の場所に位置する「庄原市立比和自然科学博物館」は、中国山地の自然史に関する情報発信源。比和自治振興センターの中に受付があり、本館は、2つの常設展示室と子ども達が学習できるディスカバリールーム、企画展示をする特別展示室を有しています。
入口付近では、中国山地の土台ができた頃や古瀬戸内海の海底だった頃、吾妻山の誕生と古代人が住み着いた頃など、時代別の中国山地の生い立ちをパネルで展示。山々がどのような植物で成り立っているのかも紹介されています。さらには、自然を活用した人々の生活や文化に焦点をあてており、和牛と比和の人々の関わり、伝統技術と生活の知恵なども知ることができます。
標本展示の主役は、標本数が国内屈指であるモグラ。そのことにちなみ、同館は「モグラ博物館」の愛称でも親しまれています。比和は3種のモグラ類が共存する、全国でも珍しい地域なのだそうです。標本は実際に触ることができ、そのベルベットのような手触りにも驚きます。
モグラコーナーを抜けたら、次はコウモリやネズミなどの小型哺乳類コーナー、さらにキツネ、タヌキ、ツキノワグマといった中型~大型の哺乳類コーナーが続きます。中国山地に生息するほとんどの鳥(はく製)を見ることができる鳥類コーナー、カブトムシやクワガタが並ぶ昆虫コーナーもあり、見応えたっぷりです。ここでの見どころは、県内初となるニホンリスの標本展示。チョウに関しては広島県で記録された132種が展示されています。
取材時は館長の森繁光晴さんが、詳しい解説と共に館内を案内。10名のインストラクターが在籍しており、7月~11月の日曜・祝日にはガイドトークを聞くことができます。それ以外の日にちでも、可能であればインストラクターが解説を行ってくれるので、ぜひお願いしてみてはいかがでしょうか。
また館内には、ところどころに「スカンクのオスは、おならが臭いほどメスにもてるってホント?ウソ?」と書かれたクイズがあったり、モグラの顔出しパネルが設置されていたりと、訪れる人たちが楽しめる工夫が凝らされています。ガイドトークでは、「この鳥のくちばしの先が交差しているのは、餌の松ぼっくりを食べるために進化したんですよ」というような豆知識を教えてもらえ、生き物の生態をぐっと身近に感じることができます。
本館を見終えたら、隣にある地学分館へ。「中国山地でクジラウォッチング」と題されている通り、こちらでは中国山地が海だった頃(1600万年前)に回遊していた、4種のクジラの化石を見ることができます。その大きさは一目瞭然で、太古の庄原の光景も彷彿とさせ、ロマンをかき立てられます。
さらに奥には、地域特有のろう石をはじめとする多種多様な岩石や鉱物、アンモナイトの化石などを展示しており、じっくり観察することができます。同じ花崗岩でも比和で採掘されたものと、そのほかの地域のものでは性質が異なり、比和の花崗岩は鉄を多く含んでいるため、かつての中国山地の産業としてたたら製鉄がさかんであった理由がわかります。
施設では年間を通じて10回程度の公開講座も開かれており、「吾妻山散策」や「化石発掘体験講座」などが人気です。年により内容は異なりますが、例えば2024年夏に開催された「昆虫採集標本づくり講座」や「葉脈標本づくり体験講座」は、夏休みの自由研究のテーマにもぴったり。
近年では、RCCテレビ番組『元就。』の取材(2022年9月11日収録・同年10月2日放送)で、お笑いコンビ「アンガールズ」の山根良顕さんが、新種の昆虫を見つけたことでも話題を集めた同館。ぜひ一度足を運び、中国山地の自然や生き物について学んでみてください。きっと新たな発見があるはずです。
DATA
- 電話
- 0824-85-3005
- 住所
- 広島県庄原市比和町比和1119-1
- 駐車場
- 有り 20台
- 定休日
- 年末年始(12月29日から1月4日)
- URL
- http://www.city.shobara.hiroshima.jp/main/education/shisetsu/cat01/01/post_197.html
- FAX
- 0824-85-3006
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 価格
- 一般(高校生以上)個人310円、団体(20人以上)250円、中学生以下無料
ACCESS
お車/中国自動車道庄原ICから約30分、中国横断自動車道高野ICから約20分