EDITORIAL REPORT
編集部レポート
高野町の冬の一大イベント!第28回 広島県雪合戦大会

高野町の冬の一大イベント!第28回 広島県雪合戦大会

冬の遊びの代表格・雪合戦。実は「スポーツ雪合戦」として、日本雪合戦連盟公式ルールにのっとって、全国各地で大会が行われているってご存じですか?

スポーツ雪合戦は北海道壮瞥町で誕生。1988年に正式な国際ルールが策定され、翌1989年に本格的な大会「昭和新山国際雪合戦大会」がスタートしました。その後スポーツ雪合戦は全国に波及。広島では1998年に庄原市高野町で初の雪合戦大会が開かれ、大きな話題に。以降は、県内外から多くの参加者とファンが集う、高野町の冬の一大イベントに成長したのです。

庄原DMOでは今回、この雪合戦大会に参加するためのバスツアーを企画。応募者と一緒にチームを組んで大会に参戦!今年で28回目を迎える「広島県雪合戦大会」とバスツアーの様子を、たっぷりとお届けします。

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第28回広島県雪合戦大会が行われたのは、2025年2月2日(日)。
「庄原市高野スポーツ広場」を会場に、一般・レディース・ジュニアの部を含める全51チームが県内外から集結しました。
これまで幾度も開かれてきた雪合戦大会ですが、「参加したいけどクルマの運転が怖い」「ルールがいまいちよくわからない」という声もチラホラ…。そんなお悩みに応えるべく、庄原DMOが企画したのが「広島県雪合戦大会inたかのバスツアー」です。

1泊2日で『桜花の郷 ラ・フォーレ庄原』に宿泊し、1日目の昼は雪合戦のルール説明や戦術講座を、夜はウェルカムディナーを実施。2日目には大会に参加するという盛りだくさんのプラン。現地までの往復バスが込みなので移動の心配もなく、大会の不明点もスタッフに尋ねることができるため、安心して試合に臨めます。今回はこちらのツアーに10名の申し込みが!庄原DMOスタッフと、別で応募をいただいた庄原市民のメンバーで2チームを結成しました。
ツアーの1日目、14時過ぎに高速バスがラ・フォーレ庄原に到着。庄原DMOスタッフから挨拶やスタッフ紹介をしたのち、各々のチェックインをすませました。
15時からはルール説明や戦術講座を開講。

併せて参加者の自己紹介や意気込みを発表していただきました。参加者10名の内訳は、大阪から来た関西大学の大学生7名と、広島に単身赴任中の男性+東京からこの日のために駆け付けてくれた奥様、呉市から参加してくれた男性です。

関大の大学生は軟式野球サークルのメンバーで、以前に人気テレビ番組『世界の果てまでイッテQ』の「お祭り男」コーナーで雪合戦大会に参加する様子を観ていて、憧れを持っていたのだそう。メンバーの1人が、「おばあちゃんのうちが広島にあるので、こんな大会があるよって教えてくれたんです」とニッコリ。
単身赴任中の男性と奥様は、せっかく広島に住んでいるので色々なことに挑戦しようとする男性に、奥様が誘われたかたち。「東京では雪遊びなんてすることがないので」と、笑って話してくれました。
最後に呉から来た男性は、ボクシングをたしなむというスポーツマン。「島出身なので雪遊びが珍しく、面白そうだったので」と教えてくれました。
それぞれの理由で応募してくれた参加者たち。夜はウェルカムディナーを囲み、和気あいあいと親睦を深めました。

 ツアー2日目は、いよいよ雪合戦大会当日。9時から行われた開会式では、関係者や来賓による挨拶があった後、代表チームが選手宣誓。華々しく大会が幕を開けました。

今回のツアー参加者と庄原市民、庄原DMOスタッフで構成されたのは全2チームで、メンバーは以下の通り。

『スノートラベラーズ』
監督:中島一晃さん(庄原DMOスタッフ)
選手:関西大学の大学生7名
補欠:庄原DMOスタッフ

『ヒバゴンの使者』
監督:松森潤平さん(庄原DMOスタッフ)
選手:ツアー参加者のご夫婦2名+男性1名、庄原市民4名
補欠:庄原DMOスタッフ(※私、ライターの浅井も『ヒバゴンの使者』チーム補欠メンバーとして仲間に入れていただきました^^)

 最初の試合は、どちらも10時45分からスタート。ヒバゴンの使者チームは第3コート、スノートラベラーズチームは第4コートで試合が行われました。スポーツ雪合戦は、1チーム7名の選手が、コート内のシェルターに身を隠しながら雪玉を投げたり、チームフラッグを奪い合う競技です。1セット3分間の間に90個の雪玉を使い、3セットで勝敗が決まります。

前衛であるフォワードが4名、後衛のバックスが3名という選手構成で、センターラインを越えて相手コートに入れるのは3名まで。雪玉が体に当たるとアウトで、その選手は退場となります。競技はポイント制で、アウトで1ポイント、相手の競技者全員をアウトにするか相手チームのフラッグを奪うと10ポイントとなります。最後はポイントで計算しますが、ドローの場合は、ビクトリー・スローという合戦で試合の勝敗が決します。

 まずはヒバゴンの使者チームですが、松森監督の戦略は「上からフワッと投げる雪玉と、ストレートにぶつける雪玉をミックスし相手を翻弄する」という作戦。ポジションも決定し、いざ出陣!

私はコートの横で見ていましたが、とにかく1セットがあっという間…!戦略をうまく展開することができず負けを喫してしまいました。「2セット目、反省を生かしていこう!」と松森監督。しかしながら、これまでにも出場経験があると思われる相手チームの動きが迅速で、負けてしまいました。

12時から行われた第2試合は、気を取り直してメンバーチェンジ。松森監督みずからも参戦し気合い十分!ツアー参加者に意気込みを聞いてみると、「玉砕覚悟でスタートから攻めに出ます!」と、こちらもかなりやる気がみなぎっている様子。1試合目よりも慣れた動きで相手に迫りましたが…、最終的に、勝利には手が届かずという結果に終わりました。

試合後、ツアー参加者や庄原市民の参加者に話を聞いてみると、「思ったよりも難しかったです。雪に足を取られるので、3セット動き回るのがやっと。でも、思い切り雪合戦できて楽しかったです!」というような声をいただくことができました。試合には敗れましたが、キラキラと輝くような笑顔に、満足感や達成感がにじみ出ていました。

 一方、スノートラベラーズチーム。こちらの戦略は「とにかく関大生のやる気と自主性にまかせるのみ!」と中島監督。大学生は雪合戦大会へ参加したいという熱い思いを以前から持っていたこともあり、見るからにやる気満々です。

10時45分からの1試合目、初心者とは思えぬ動きで果敢に相手チームに突撃。九州から参加したチームを2-1で制し、見事勝利をつかみ取りました。さらに12時から行われた第2試合でも、勢いそのままに積極的な試合展開。先に勝敗が決まったヒバゴンの使者チームの声援の力も相まって、1試合目と同じく2-1で勝ちを手にすることができました。

 実はこの試合、2試合目までは3チームによるブロック制で、そこでトップに立ったチームが次に行われるトーナメントに出場できるという仕組み。第4コートでトップの座をつかんだスノートラベラーズチームは「ここまで来たら最後まで戦います」と宣言。トーナメントは14時からのスタート予定だったので、ここでいったんお昼休憩を取ることにしました。ヒバゴンの使者チームのツアー参加者と庄原市民の参加者は、帰宅時間も考慮してここで解散することに。同じチームとして一緒に戦うことができ(私は声援を送るのみでしたが笑)、とても楽しかったです!皆さん、ありがとうございました!!

 さて、この大会、なかなかの規模で開かれるため、出店も色々と並ぶのがお楽しみのひとつ。庄原DMOスタッフの奥谷さんと一緒に、お祭り気分でランチタイム♪

奥谷さんはラーメンセット(700円)、私は広島牛すじカレーうどん(600円)と巻寿司(350円)をチョイス(この日は節分!)。どちらも手作り感のある品で、心身共に温まりました。

ちなみに出店の種類は本当に多く、唐揚げ、チーズハットグ、クレープ、りんご飴などなどがずらり。地域の特産ブースのようなものもあり、大崎上島町のお店では、焼き牡蠣や柑橘類が揃っていて人気でしたよ。

お腹が満たされ、ほどよく休憩も取れたのち、スノートラベラーズチームのトーナメント試合が開始。
相手チームの選手層も若く出場経験が豊富そう…!

スポーツ雪合戦は、中央にあるセンターのシェルターをどちらが制すかが、勝負の行方を決めるカギのひとつになってきます。開始直後、試合に慣れているであろう相手チームが、あっという間にセンターシェルターに身を潜り込ませる様子に、思わずこっちがハラハラ。

しかしながら、スノートラベラーズチームも負けてはいません。

1セット目を落とし、2セット目も押されていましたが…、まさかのチームフラッグを奪うことに成功!

拮抗しているのでは?と希望が見えましたが、3セット目を取られてしまい、惜しくも敗退となってしまいました。
最後は皆で集合して、健闘をたたえ合うメンバーたち。特に監督と選手の強い結びつきは、見ているこちらも気持ちの良いもので、グータッチやハイタッチをしながら互いをねぎらい合っていました。

参加した大学生に感想を聞いたところ、「とにかく夢中で3分間雪玉を投げ合って、めっちゃ楽しかったです!これまで一緒に野球をしてきた仲間と、最後にこんな良い思い出が作れて良かったなと思ってます」「思ってたよりも白熱しました!今までこのメンバーで、いろんなイベントに出たりしてきました。これから皆、社会に出てそれぞれ違う道を歩むけど、大人になってもずっとこうして集まって、一緒に何かやっていきたいです!」と、笑顔で話してくれました。

今回参加してくれた大学生は4回生。4月から社会人か…、良い仲間に巡り合えて本当に良かったねと、同じ年頃の息子を持つ私は、思わずウルッとしてしまったのでした。

バスツアーはここで終了となり、メンバーは解散。庄原DMOスタッフの奥谷さんと私は、大会を最後まで見届けることにしました。
負けたチームが帰途につき、やや寂しくなった会場でしたが、コートでは勝ち進んだチームによるファイナル戦が! 昨年のチャンピオンチームも勝ち残り、ジュニア、レディース、一般の部と、いずれもすごい迫力。この試合を観るだけでも訪れる価値があると思います。一般の部はPリーグ(プロフェッショナル・リーグ)とFリーグ(フレンドリー・リーグ)に分かれていて、Pリーグとレディースのチャンピオンは北海道で開かれる国際大会に広島県代表として出場する権利を得られるため、気迫がすごい!雪合戦って、ちゃんとした競技なんだなぁ…なんてことを感じました^^

 そしていよいよ、閉会式。表彰や記念撮影、関係者の挨拶があった後、最後は盛大な餅まきが行われました。餅の袋に数字が書かれたクジが入っているのですが、特賞はなんと「北海道ペア航空チケット」や廿日市市の高級旅館「石亭ペア宿泊券」だったりして、会場は大盛り上がり!最高のフィナーレを迎えたのでした。

 思った以上に競技性の高い「スポーツ雪合戦」。こんなにも大規模の大会が開かれているのだと、初めて知りました。そして選手や監督の間で育まれる強い絆… やっぱりスポーツっていいですね!いつかはスポーツ雪合戦がオリンピック種目に認定される日がくるかも!?

そんな日を夢見つつ、また来年の開催を楽しみに待ちたいと思います。