
新年度に向けて気持ちを新たに!「浄久寺」で坐禅体験
進学、進級、就職、異動… 春は出会いと別れの季節ですね。新しい環境で、まっさらな気持ちで頑張りたい!と考える人も多いはず。今回は心身共にリフレッシュできる坐禅体験に、庄原DMOスタッフの奥谷とライターの浅井がチャレンジ。その時の様子をレポートします。また、訪れるだけで気持ちが引き締まる庄原のパワースポットや、心浮き立つランチ&カフェのオススメ店も併せてご紹介。清々しい気分になれる一日を、ぜひ過ごしてみてください。
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坐禅体験に挑戦させてもらったのは、西城町栗にある「浄久寺」。創建が1534年の歴史ある曹洞宗の寺院です。戦国時代にこの地方を治めたとされる、大富山城主久代宮氏の菩提寺で、境内には宮氏一門の五輪石塔や、墓碑32基が現存されています。県の天然記念物に指定されているカヤの巨樹、「矢じりの跡」と言い伝えられる傷跡が複数残る山門が見どころ。備後西国三十三ヶ所観音霊場の第21番札所でもあり、御朱印を求めて訪れる人もいます。
こちらのご住職を務める多飯裕慧さんは、なんと24代目…!もっと気軽にお寺という場所に足を運んで、仏の教えに興味を持ってもらいたいと、坐禅体験をInstagramで発信しています。基本は月に数回の決まった日に行いますが、ご住職がお寺にいる日で都合が合えば開催OK。人数や希望日時など、問い合わせてみてください。体験料は一人100円で高校生以下は無料なので、家族みんな、あるいは仕事やサークル仲間など、グループで参加するのも良さそうです。参加する際は、動きやすい服装がベター。坐蒲(ざふ)を使って足を組むので、女性であればスカートは避けたほうが無難です。体に痛みのあるシニアの方や妊婦さんには、椅子の用意もあるので安心。
まずは坐禅を始める前に、曹洞宗とはどんな宗派なのか、坐禅とはどういった修行なのか、簡単にご住職からお話をいただきます。曹洞宗の開祖は鎌倉時代初期の禅僧である道元で、中国の禅を日本に伝えた人物として知られています。曹洞宗では、ただひたすら黙々と坐禅(只管打坐)することで、己の仏性を見出そうとする教えが説かれています。日常生活のなかに潜む仏心に目覚め、明るい社会づくりに努力し、また坐禅をして心安らかな日々を送ることが、曹洞宗の教えなのだそうです。
坐禅を行う場所は本堂で、人数が少ない場合は専用の禅堂で行います。最初に体をほぐすためのストレッチをして、それぞれの位置にスタンバイ。うっかりスカートをはいてきてしまった私は椅子をお借りし、庄原DMOスタッフの奥谷さんは定番の坐蒲で行いました。坐禅を行うスペースは、だいたい1人につき畳1枚分ほど。はじめに自分の坐る所に向かって合掌一礼し、そのあと反対を向いて対面にむかって合掌一礼をします。
着座の姿勢は、右の足を左のふとももの上に深くのせ、左の足を右のふとももの上にのせる結跏趺坐(けっかふざ)か、右の足を左のふとももの下に深く入れ、左の足を右のふとももの上に深くのせる半跏趺坐(はんかふざ)、どちらでもOK。手は、右手を組んだ足の上にのせ、その上に左の手をのせて両手の親指を軽く合わせる法界定印(ほっかいじょういん)の形に組みましょう。耳と肩、鼻とおへそが垂直になるように上体の姿勢を整えたら、口を閉じ、目はつぶらずに1m先ほどの下へと視線を落とします。ゆっくり深呼吸して体のこわばりをほぐし、上体を振り子のように軽く揺らして中心で静止。鼻から息を吸う腹式呼吸で、余計な思いを取り払い、3回鳴る鐘の合図で坐禅スタートです。
そこからはひたすらに、静かな時間。「さまざまな思いにとらわれずに、頭と心のなかを空っぽにしましょう」とご住職がおっしゃっていましたが、これが一番難しい…!
※坐禅中の私の頭の中※
“あぁ、なんで今日スカートはいてきちゃったんだろうな… 失敗、失敗…。そしてさっきから岡田さん(庄原DMOスタッフ)、体験レポート用の写真めっちゃ撮ってるけど… え?そんな下からのアングルで撮るの?もうそれ、二重アゴ確定やん… 公開処刑が過ぎますよ…。あとで奥谷さん(一緒に坐禅体験した庄原DMOスタッフ)の写真をメインで使ってもらうように頼もう…”
とまぁ、煩悩だらけだったことを白状します(笑)。しかしまぁ、雑念でいっぱいだった私の心も、時間が経つとともに凪いだように静かになっていくのが不思議。寝ているわけではないんだけど、とにかくボーッとするというか、無になるというか。半分を過ぎた頃に、ご住職が後ろに立たれて警策(きょうさく)をスッと背中にあてたところで、意識がハッ!としました。
(ちなみに私、警策って後ろからバシッと叩くもんだと思ってました汗 ご住職に後で聞いたら、「ご要望があればそのようにもしますよ」ということでした^^)
そこからは再度姿勢を正し、無の時間。またもや瞑想状態になっているところで終了の鐘が鳴り、フッと我にかえりました。坐禅が終わったら体を揺らして足を解き、再び合掌低頭して終了です。最初のお話から終わりまで、だいたい20分~30分といったところ。時間に余裕があれば、この後、ご住職から貴重な法話なども聞かせていただけます。
今回はざっくばらんに、「体験してみてどうでした?」とご住職。「う~ん、頭を空っぽにするのが一番難しかったですね」と答えると、「道元禅師は『坐禅とは、考えないことを考えるのだ』という言葉を残されているんですよ。毎日忙しくして疲れた方にこそお寺に来てほしいです。忙しさも何もかも、自分さえも忘れて、坐禅をして、空っぽになって頂けたらと思います。」とのこと。……禅問答過ぎる(笑)。浄久寺では、坐禅体験のほかに、希望があれば写経体験も可能。これまでにも、小さいお子さん連れのお父さんお母さんや、外国人観光客の方がチャレンジし、「気持ちがスッキリした」「貴重な体験とお話を聞くことができて良かった」と喜ばれてい
るそうですよ。気になる人は、ぜひ浄久寺のInstagramをチェックしてみてください。
心身リセットに効果大!の坐禅体験。さらなるリフレッシュを図りたいなら、同じ西城町内にある「熊野神社」まで足をのばしてみるのがおすすめです。熊野神社は、古事記で日本を生んだとされる「伊邪那美命(イザナミノミコト)」を葬った比婆山を遥拝する神社。100本以上の杉が並ぶ境内は厳かな雰囲気で、幽玄さを漂わせています。樹齢千年を超える老杉もあり、そのうちの11本が広島県の天然記念物。さらにお社が3つあり、奥へと足を踏み入れるほど異世界のようなムードが…。こちらの神社が「パワースポット」と呼ばれる理由がよくわかります。
ランチは、築130年以上の古民家を活用した食事処『やませみ』でどうぞ。新鮮な旬の野菜をたっぷり使った「おまかせ定食」が人気で、木箱入りの小鉢が並ぶ盛り付けも素敵。古民具や骨董品好きなら、店内の設えを眺めるのも楽しいですよ。
さらにカフェタイムを満喫するなら、庄原市宮内町にある雑貨&カフェ『生活や(いきいきや)』がおすすめ。可愛らしい三角屋根の建物で、緑あふれるガーデンが心を癒してくれます。週替わりのパスタやIKIタコライスなどのランチメニューのほか、マフィン、シフォンケーキ、ケーキセットといったスイーツ類が充実しているので、ほっと一息ついてみてはいかがでしょうか。
浄久寺、熊野神社、やませみは同じ西城町内に、生活やは西城町から庄原方面へと戻る県道183号線沿いに位置しています(浄久寺から車で15分ほど)。心身リセットの庄原おでかけプランとして、ぜひ参考にしてみてください。