EDITORIAL REPORT
編集部レポート
手のひらサイズの芸備線!東城土鈴に新デザイン登場!

手のひらサイズの芸備線!東城土鈴に新デザイン登場!

はじめまして。この度新しく庄原旅編集部ライターに就任しました下井田です。生まれも育ちも広島市ですが、庄原愛が強すぎて庄原市で就職を果たした庄原大好き人間です。庄原の好きな場所や魅力をたくさん皆様にお届けしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
「ガタンゴトン」と、広島から岡山を結ぶ芸備線。その長い道のりと同じように、厳しい経営状況もまた、長年続いています。芸備線の利用促進は、庄原市をはじめとする備北地域にとって、重要な地域課題の一つです。そこで今回、芸備線を応援したいという思いから芸備線とコラボレーションした、庄原市東城町の民芸品である「東城土鈴」を取材しました。

心温まる音色、東城土鈴

「カランコロン」と、かわいらしい音色を奏でる土鈴。粘土を成形し、焼き上げて作られる土鈴は、その形も様々で、鈴の形をしたものから人形を模したものまで存在します。また、土鈴の音色には魔除けの効果があると言われています。庄原市東城町では、民芸品「東城土鈴」として、地域の人々によって製作が続けられています。町内にある東寿園福祉作業所きらぽっかでは、1989年の開所以来、利用者と職員が協力して、この民芸品を作り続けています。

【4/1~】芸備線モデル、誕生


今回、東城土鈴に新しく仲間入りしたのは、芸備線・木次線を走るキハ120形をモチーフにした愛らしい土鈴です。ラインナップは、以下の3種類。
・ 芸備線キハ120形(写真左):鮮やかな橙色と赤色の帯が目を引くデザイン
・ 芸備線キハ120形(写真中):落ち着いた青紫と青色の帯が美しいデザイン
・ 木次線キハ120形(写真右):前面の萌黄色と、山吹色と深緑の帯が特徴
価格は1個1,200円(税込)で、いずれも数量限定で各300個。全長8cm、幅4cm、高さ4cmと、手のひらにすっぽり収まるかわいらしいサイズが特徴です。3種類の個性豊かなカラーバリエーションを、楽しめます。

制作現場、潜入


今回特別に、制作現場である庄原市東城町の東寿園福祉作業所きらぽっかへ潜入取材。普段は見ることのできない、土鈴づくりの裏側をご紹介します。

ステップ1:粘土成形

まずは石膏で作られた型に粘土を押し込み、指先の感覚を頼りに均一な厚さに成形していきます。「芸備線モデルは形が特殊で穴が開きやすく難しい。」そう言いながらも、早く、正確に土鈴を作っていく利用者の手際は、まさに職人技。
次に、土鈴特有の音色を生み出すために、小さな粘土玉を内部に配置して貼り合わせます。粘土玉の大きさは土鈴の種類ごとに違い、きれいな音色が出るように調整されています。そして、余分な粘土を取り除き、形を整えます。
最後に鈴の音が出る穴、紐を通す穴を開けて成形作業は終了です。

ステップ2:素焼き

成形した粘土を約2週間かけてじっくりと乾燥させ、いよいよ素焼きの工程へ。約900度の電気釜で1日かけてしっかりと焼き上げます。素焼きされた土鈴は非常に熱く、2日間ほどかけ常温でゆっくりと冷ましてから取り出します。

ステップ3:絵付け

素焼きされた土鈴全体に、芸備線のボディカラーを塗っていきます。そして、車体の鮮やかなラインや窓の枠などの細かい部分を、描き入れます。職員の方いわく「芸備線モデルは直線的な色塗り作業が多く、描くのが難しい。」とのこと。そのため、消しては書いてといった作業を繰り返し、一つひとつていねいに色付けがされています。最後に紐を通して、ついに完成です。

制作秘話
東寿園福祉作業所きらぽっかの制作に携わる職員の川角さんに、芸備線モデルができるまでのお話を伺ってきました。

もともと施設があった場所は芸備線の線路が目の前にあり、施設で過ごす人は毎日列車が走る姿を見ていました。しかし、年々利用者は減少。芸備線の廃線問題が持ち上がったことに寂しさを覚え、「芸備線を応援したい」という想いが強くなった川角さん。そんな中、新たに施設を利用するようになった方が鉄道好きであったことから、施設で制作していた土鈴と芸備線を組み合わせ、芸備線の土鈴を制作することを決意。制作が決まってからは、職員と利用者が一丸となってデザインを構想しました。より魅力的な土鈴を作るために話し合いを何度も重ね、時には外部の方からの意見も取り入れ、何度も試行錯誤を繰り返す日々。その結果、車体に「キハ120」という文字を入れるなど、細やかな部分も再現した、こだわりの土鈴が誕生しました。「1人の力ではできないので、みんなが自分の仕事を頑張った」と、語る川角さん。この土鈴は職員と利用者、合わせて15名がそれぞれの得意分野を活かし、分担して作られています。制作にかかわる職員の方は「鉄道が好きな方にはもちろん、お子さんにも手に取ってほしい」と語り、また、利用者の方は「大切に飾ってほしい」と、それぞれ制作者としての願いを聞かせてくれました。なお、現在も新しい土鈴の企画が進行中。今後の新しい土鈴にもぜひご注目ください。

その他の商品

東寿園福祉作業所きらぽっかでは、芸備線コラボ土鈴以外にも、広島東洋カープとのコラボ土鈴、かわいらしい干支土鈴、季節感あふれる土鈴など、多彩なラインナップが並びます。これらの土鈴はすべて手作業で作られており、数量限定です。お早めにお求めください。

販売場所

芸備線モデルの東城土鈴は、2025年4月1日(火)より、以下の施設で販売を開始します。価格は1個1,200円(税込)。限定で各300個の販売です。芸備線モデル以外の土鈴も販売しております。

・東城まちなか交流施設 えびす
・道の駅 遊YOUさろん東城
・道の駅 たかの
・道の駅 鯉が窪
・道の駅 さんわ182ステーション
・西城町観光協会
・トーエイ
・食彩館しょうばらゆめさくら
・ふれ愛プラザ
・特別養護老人ホーム シルトピア油木
・休暇村帝釈峡
・東寿園福祉作業所きらぽっか
※各施設、売り切れ次第販売終了となります。

施設の基本情報

出典:東寿園福祉作業所きらぽっか
施設名:東寿園福祉作業所きらぽっか(就労継続支援B型)
住所:広島県庄原市東城町川西947-2
休業日:日曜日、お盆、年末年始
営業時間:9:00〜16:00
お問い合わせ:080-2931-9686
https://www.alice.or.jp/pages/113/

そうだ、東城土鈴を買いに行こう。
東寿園福祉作業所きらぽっかの皆さんの手によって作られた東城土鈴。その優しい音色に耳を傾けるもよし、愛らしい姿をインテリアとして楽しむもよし、大切な人への贈り物にするもよし。楽しみ方は自由自在。手作りだからこそ、全てが同じではなく、一つひとつが違う表情を見せてくれます。東城を走る芸備線さながらの温かさと魅力溢れる東城土鈴を、ぜひ手に取って、そのぬくもりを感じてみてください。